この住まいは、生活と仕事の空間をゆるやかに共存させた木造2階建ての住宅である。限られた敷地条件の中、20坪という狭小住宅であるため、総2階構成として無駄なく最大限に生活空間を配置。1階には来客を迎えるサロンスペースとプライベートな寝室を、2階には水回りとLDKを配置することで、生活と仕事、パブリックとプライベートを適切に分けつつ、回遊性のある動線を生み出している。外観は、外壁素材を統一することでシンプルな形を強調し、素材感を活かした仕上げにより静かな街並みに溶け込む佇まいを実現している。開口部の寸法や位置にも細やかな配慮がなされ、自然光を十分に取り込みながら視線をコントロールし、内部に落ち着きのある環境をつくり出している。2階に設けたLDKは、周囲の視線から距離を置くことで開放感と安心感を両立。階段とLDKを緩やかにつなぐ木ルーバーが、空間に適度な仕切りと自然なアクセントをもたらし、素材の質感や造作家具が温かみのある居心地を演出している。水回りとの動線もコンパクトにまとめられ、家事の効率を高める配置がなされている。空間のつながりと独立性のバランスを重視し、家族3人が集まる場所と個々の時間を大切にできる環境を整えた。シンプルなフォルムの中に心地よい“間”を生み出すことで、機能性と豊かさを感じさせる住まいとなっている。